PMS(月経前症候群)とは?PMSの症状と和らげる手段

「生理前になると、理由もなくイライラする」
「急に涙が出る、家族やパートナーに強く当たってしまう」
「吐き気や頭痛、胸の張りがつらくて、毎月この時期が怖い」
もし「あ、私のことだ」と感じたなら、それはPMSの症状かもしれません。
PMSは、月経の3〜10日ほど前から心や体にさまざまな不調があらわれ、月経が始まると軽くなったり消えたりする生理現象。つまり、あなたの性格が悪いからでも、我慢が足りないからでもありません。月経周期による心身の変化が原因の、ごく自然な体のSOSです。
この記事では、PMSの主な症状、いつから始まるのか、吐き気が起こることはあるのか、今日からできる対処法、市販薬や婦人科で相談できる治療法までわかりやすく解説しますね!

1.PMS(月経前症候群)とは?

PMS(月経前症候群)とは、月経前にあらわれる精神的・身体的な不調のことです。一般的には、排卵後から月経開始までの時期、つまり月経3〜10日前に症状が出やすく、月経が始まると症状が軽くなる、または消えることが特徴です。
PMSのやっかいなところは、症状が毎月くり返されること。
たとえば風邪なら「数日休めば治る」と見通しが立ちますよね。でもPMSは、生理周期に合わせて毎月やってくるため、「またこの時期が来た」「今月も自分をコントロールできないかもしれない」という不安につながりやすいのです。

PMSの主な症状チェックリスト

PMSの症状は、大きく分けると心の症状と体の症状があります。

心に出やすい症状

症状よくある状態
イライラ些細なことで怒ってしまう
情緒不安定急に涙が出る、気分が沈む
不安感仕事・家事・人間関係が急に不安になる
集中力の低下仕事や勉強に身が入らない
抑うつ気分何もしたくない、自分を責める
眠気・睡眠の乱れ眠くてたまらない、逆に眠れない

イライラや情緒不安定、抑うつ気分、自己評価の低下などの精神症状が見られることがあります。

体に出やすい症状

症状よくある状態
胸の張り乳房が痛い、張って苦しい
頭痛頭が重い
腹痛・腰痛下腹部や腰がだるい
むくみ顔や脚がパンパンになる
だるさ体が重く、動くのがつらい
食欲の変化過食、甘いものが止まらない
便秘・下痢お腹の調子が乱れる
吐き気胃のむかつき、気持ち悪さを感じる

乳房の張り、腹部膨満感、むくみ、だるさ、頭痛、腹痛などの身体症状もよく見られます。

PMDDとの違い

PMSの中でも、精神的症状が極めて強く日常生活や対人関係に支障をきたすレベルのものは「PMDD(月経前不快気分障害)」と診断されることがあります。「怒りが抑えられず後悔する」「仕事を休むほど辛い」という場合は、婦人科または心療内科への相談を検討してみてくださいね。

医師からのひと言

PMSは「気のせい」や「我慢すれば乗り越えられる」ものではなく、ホルモン変動に伴う実際の医学的状態です。症状の程度には個人差が大きく、軽度の不調から日常生活に支障をきたすレベルまで幅広く存在します。適切な治療やケアによって、症状を和らげることは十分可能です。

なぜこんなに辛いの?PMSの主な原因

PMSの正確なメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、現在もっとも有力な原因として以下の2つが挙げられています。

① ホルモンバランスの急激な変動

排卵後、体内ではプロゲステロン(黄体ホルモン)が急増します。そして月経が近づくにつれ、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロンが急激に低下します。この乱高下が、脳や自律神経にダイレクトに影響を与えます。

② セロトニンの低下が精神症状を引き起こす

エストロゲンにはセロトニン(幸せホルモン)の産生を助ける働きがあります。エストロゲンが低下する黄体期後半には、セロトニンも連動して減少。これが、理由のない悲しみ・怒り・不安の正体です。

3.PMSの症状は「いつから」始まり、いつ終わる?

多くの場合、PMSの症状は排卵後(生理の10〜3日前)から始まり、生理が来ると急速に楽になります。この時期を「黄体期」といい、先程説明したエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が急増・急落する時期なんです。

年代別:症状の出方の傾向

時期日数の目安エストロゲンの動きプロゲステロンの動き
月経期1〜5日目低い低い
卵胞期6〜14日目徐々に上昇→ピーク(気分が安定しやすい)低いまま
排卵14日目前後急低下急上昇し始める
黄体期=PMS15〜28日目低下(セロトニン減少→イライラ・落ち込み)急落(胃腸の不調・むくみ・だるさ)

この2つの女性ホルモンがほぼ同時に乱高下するので、PMSの症状がこんなにも複雑になるんですね。

月経周期(28日サイクルの例)【月経周期(28日サイクルの例)】

年代主な症状の傾向背景
10〜20代腹痛・腰痛など身体症状が中心ホルモンバランスがまだ不安定
30代精神症状(イライラ・鬱気分)が強まる仕事・育児のストレスとの相互作用
40代以降精神症状が最も顕著になりやすい更年期への移行でエストロゲン変動が大きい

PMSは「生理が来る直前だけ辛い」と思われがちですが、排卵直後から症状が出始める方も。
症状が生理の10日以上前から続く場合も、PMSに含まれますよ

4.「吐き気」もPMSの症状?消化器系の不調

「生理前に吐き気がする」というのは、PMSの中でも比較的多く報告されている症状。多くの方が見落としがちですが、これも立派なPMSの症状の一つです!

吐き気が起こる主な理由

① プロゲステロンの胃腸への影響

プロゲステロンには腸の動きを遅らせる作用があります。これにより、消化不良・便秘・吐き気が生じやすくなります。

② 自律神経の乱れ

ホルモン変動により自律神経が乱れ、胃腸機能が低下します。この「自律神経性の吐き気」は、食事と無関係に起こります。

③ 頭痛に伴う吐き気

PMSによる片頭痛が吐き気を伴うこともあります。「頭痛→吐き気」のセットは、PMSの典型パターンのひとつです。

他の疾患との見分け方

吐き気が生理前のみ毎月規則的に起こり、生理が来ると消えるのであれば、PMSの可能性が高いです。生理と無関係に続く吐き気は、消化器系など別の疾患の可能性があるため受診を検討してください。

5.今日からできる!PMSの症状を和らげる3つの手段

ここで大切なのは「完璧を目指さないこと」です。できることから、無理なく続けていきましょう!

① セルフケア(食事・生活習慣)

  • カフェイン・アルコールを控える: どちらも神経を刺激し、PMSの精神症状を悪化させます。黄体期はノンカフェインに切り替えるだけで体感が変わる方も多いですよ◎
  • カルシウム・マグネシウムを意識して摂る:乳製品・小魚・ナッツ類がおすすめです。特にカルシウムはPMSの症状軽減に有効というエビデンスが複数あります。
  • ビタミンB6を摂る: セロトニンの合成に関与します。バナナ・鶏肉・じゃがいもに多く含まれますよ。
  • 軽い有酸素運動を続ける: ウォーキング・ヨガ・水泳など。エンドルフィンの分泌でセロトニン低下を補うことができますよ。

② 市販薬・漢方薬

種類商品名特徴
市販薬プレフェミンチェストツリーの主成分。精神・身体症状の両方に対応
漢方命の母ホワイト13種の生薬配合。イライラ・不安・むくみに対応
漢方加味逍遙散のぼせ・イライラ・不眠に。婦人科でも多く処方される
医療機関低用量ピル(LEP)ホルモン変動を抑え、PMSを根本から改善

③ 医療機関への相談

PMSは治療できる疾患です。「またPMSかぁ。早く終わってほしい。」と我慢するだけではなく、以下に当てはまる場合は婦人科への受診を積極的に検討してみてくださいね。

  • 市販薬や生活改善を3ヶ月以上続けても効果がない
  • 症状のせいで仕事・育児・対人関係に支障が出ている
  • 「毎月消えたくなる」「自分を傷つけたくなる」と感じたことがある
  • 症状がひどくなっている・種類が増えている

「PMSくらいで婦人科に行っていいのか?」と躊躇する方はまだ多いです。ただ、最近ではPMSへの社会的な理解も深まり、婦人科に相談する方がぐっと増えてきていますので、安心してください!

医師からのひと言

セルフケアや市販薬で改善しない場合、我慢は禁物です。低用量ピルや漢方など、医療機関では症状に合わせた治療が選べます。

6.「また自分を嫌いになってしまった」あなたへ

大切な人に怒鳴ってしまって、後から後悔する。「なんでこんなこともできないんだろう」と自分を責める。その自己嫌悪こそが、PMSの症状のひとつです。あなたは弱いわけでもありません。自分を責めなくて大丈夫ですよ!

パートナーへの伝え方

PMSを理解してもらうには、「症状として説明する」のが最も伝わりやすいです。

  • 「生理の〇日前になると、ホルモンの影響でイライラしやすくなる。あなたのことが嫌いなわけではない」と伝えてみましょう 
  • 「この期間は少し距離を取ってもらえると助かる」など、具体的な行動をお願いするのも効果的です 
  • 症状の記録(アプリなど)をパートナーと共有するのもおすすめです 

「この時期は頑張らない」を決める

PMSは毎月来ます。だからこそ、黄体期のスケジュールを意識的に空けることが最大の予防策になります。重要な決断、感情を使う会話、完璧を求める仕事、これらを黄体期に避けるだけで、毎月の過ごし方がぐっと楽になりますよ! 

その小さな一歩が、確実にホルモンバランスと、本来のあなたを取り戻すための道につながっていきますよ。

まとめ PMSの症状は「我慢」ではなく「対策」できる

PMSは、月経前3〜10日ごろから心や体に不調があらわれ、月経が始まると軽くなる、または消えることが多い状態です。イライラ、涙もろさ、落ち込み、頭痛、胸の張り、むくみ、吐き気など、症状は人によってさまざま。

大切なのは、PMSを「自分の性格のせい」と決めつけないことです。

毎月同じ時期につらくなるなら、まずは症状を記録してみましょう。 生理前は予定を減らし、睡眠や食事を整えること。 市販薬や漢方を選ぶ際は薬剤師に相談するのもいい方法ですよ!

そして、生活に支障が出ている場合は、ためらわずに婦人科に相談してください。

PMSは、ひとりで耐え続けるものではありません。
「またこの時期が来た」と怯える毎日から抜け出すために、まずは自分の症状を知ることから始めていきましょう!

医師からのひと言

セルフケアから医療機関での治療まで、選択肢は豊富にあります。つらいと感じたら、ひとりで抱え込まず専門家に相談してください。

監修医師

藤東淳也先生

日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。

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